傷跡はなぜ傷跡なのか
皆様こんばんは。
お休みの本日は、朝からスギナ退治をしていました。
冬前に除草剤で見事にスギナ撲滅?!に成功したのに、最近の暖かさで
またまた復活してきました。
でも
除草剤は環境に良くないなぁと思い、一生懸命上のほうをむしっています。
はてしないなぁ~
昨日文献等を読んでいて、ふと疑問になったこと。
「傷跡はなぜ残るのか」
しかも、誰が見ても傷跡と分かる形で残るのか。
(専門的な内容になるので、分からなければ飛ばしてください)
医学的な答えとしては
表皮の基底層より深い傷(つまり真皮まで達する傷)は
傷跡が一生残る。
傷を負った深さで傷跡が残るかどうかは決まる。
このように教科書的には書いてあります。
今までその通り、なんとも思わなかったのですがでは、なぜ真皮までの
深さの傷は残るのでしょう?
イロイロ調べていると、こんなサイトにたどり着きました
特定非営利活動法人・創傷治癒センター
その中で
欠損部を埋めていく軍団のような組織を肉芽組織といいますが、
肉芽組織はコラーゲン以外の色々な物質やコラーゲン間の架橋などで
結合補強しあい、だんだんと真皮に近い丈夫な組織になっていきます。
この状態を瘢痕組織といいます。
こうして再生した表皮細胞の下の組織は、真皮に置き換わる
わけではなくて、いつまでも瘢痕組織として残ります。
真皮部分が真皮とは異なる組織=瘢痕組織で置き換わるわけです。
その上に更に表皮がありますが
表皮は、傷の周囲から細胞が集まってきて、もともとの表皮と同じ
細胞で覆われます。
ん? 一番外側にある表皮が通常の表皮と同じ細胞で覆われるのであれば
傷の見た目は周囲の皮膚と変わらないのではないだろうか?
なぜ、明らかに傷として分かるのだろうか??
っとまた疑問が出てきます。
そこでまた先ほどのサイト
再生した表皮は傷を受ける前とほとんど同じになりますが、
瘢痕組織はコラーゲンの配列が不規則なので、
表皮を通してみた場合、真皮とは多少違って見えます。
これが「傷跡」です。
つまり実際に患者さんが気にすること、すなわち色が違うとか、
傷の幅とか、凹んでいるあるいは盛りあがっている,などの事柄は
表皮ではなくて、ほとんどが真皮レベルの瘢痕組織の問題なのです。
したがって、これからの創傷治癒の課題は、瘢痕組織をなくしてしまう事ではなくて、
瘢痕組織の量を減らし、なおかつこれを正常の真皮に近づける事と思われます。
なるほど。
そうなると、傷が治ってしまってから目立つのを何とかするのではなく
傷が治る過程での瘢痕組織をコントロールすることが大事なのですね。
ついでにもう一点思ったこと。
表皮の厚みがあれば、真皮が透けにくく傷跡は目立たないのではないだろうか?
オバジニューダームのケアをおこなうと、表皮が厚くなることが
確認されているので、傷跡が目立たなくなるのではないかしら?!
実際、顔面熱傷の患者さんに、モニターになってもらいオバジケアを
おこなったところ、ご本人も非常に満足するくらいきれいな肌になりました。
オバジニューダームをはじめとしたレチノイド製剤は
まだまだイロイロな可能性を持っているのかもしれません。
余談ですが、勉強すればするほど疑問点が出てきます。
医学部生の時、さっぱり興味の無かった生理学とか病理学とか
もっとちゃんと勉強しておけば良かったといまさら反省しています。