レーザートーニングとは:肝斑にレーザー治療

皆様おはようございます。

本日、美子スキンクリニックは診療日です。

そして、
4月4日(木)は急遽、休診となります。
2週連続の木曜日休診で非常に申し訳ないのですが、
日本形成外科学会総会に参加してお勉強をしてきます。

4月の休診は毎週水曜日、日曜日(レーザー脱毛のみ診療)
4月4日(木)
4月9日(火)
4月25日(木)
そして、ゴールデンウィークの4月29日(月)です。

ご迷惑をおかけしますが、なにとぞよろしくお願いします。




今回、形成外科学会総会に参加したい理由は、
「眼瞼下垂」について手術方法やレーザーによる効果を
勉強したいからです。

額のシワを何とかしたいとご相談に来てくださる方の半分以上は
眼瞼下垂を伴っており、ボトックスを注射することが出来ません。

まずは、眼瞼下垂の手術(切開法の二重)を行ってから
ボトックスという順番になりますが、やはり、手術ということで
躊躇される方が多々いらっしゃいます。

分かります。そのお気持ち。

なので、そこを何とかレーザーで改善できないものかしら…なんて
疑問もあり、なかなか皮膚科学会では手術の話を聞くことが出来ませんので、
形成外科学会に思い切って行ってみよう!! ということです。

お休みをいただく分、しっかりお勉強をしてきますので
お許しください。


肝斑にはレーザーは禁忌だったはず…ですが

今日は先日に引き続いて、肝斑のお話。

以前から、肝斑にはレーザーを照射してはいけないということが
私たち皮膚科医・形成外科医などを含めたシミ治療を行う
Drの常識でした。

ところが2008年ごろより、レーザートーニングという
新しい治療方法が提唱されるようになってきました。

レーザートーニングに使われる機械はこちら。
メドライトC6

メドライトC6

レーザートーニングの話をする前に
知っておいてほしいことがPIHという概念です。

先日の話の中で、レーザーを照射することによって
かえって色素沈着が濃くなると書きました。

この症状を
PIH Postinflammatory hyperpigmentationと呼びます。
PIH
こちらの方は、他のクリニックでレーザー照射を受けたところ
PIHを生じてしまい、かえってシミが目立つようになったそうです。
(3年以上色が取れないとのことでした)

レーザー照射=シミが取れる と思って治療を受けたにも
かかわらず、かえって濃いシミになってしまう。

こうなった場合は、もはやシミを取るようなレーザーを当てれば
当てるだけ、シミがさらに濃くなるので、レーザー照射はできません。

肝斑の場合は、このPIHを生じる確率が非常に高く
これゆえ、肝斑にレーザーは禁忌と言われています。

ここまでは皆様ご理解いただけましたか??


それでは、引き続いて機械の話に行きますね。

シミ・肝斑・PIHに対するレーザーの強さを決定する要因は
1) レーザーの波長
2) パルス幅
3) 出力
4) 照射方法 照射間隔
この4点です。

1)2)に関しては、レーザーの種類、メーカーによって異なりますので
治療するDrはこの点をしっかり理解して機種を選ぶ必要があります。

3)4)は各々の先生によって、異なってきます。

学会に参加したり、研修に参加したりする理由は
この点を、機械を使いこなしている先生にお伺いしたり、
現在の治療で効果が今一つの時などに、アドバイスをもらったり
より良い効果を出すための勉強を行うためです。



今日はこのうちの
1) レーザーの波長 について解説します。

まずはじめに、
波長=色  とおおざっばにご理解ください。

赤色=波長: 625-740 nm
緑色=波長: 500-565 nm
青色=波長: 450-485 nm

そしてレーザーには大きく分けて2種類あるのはご存知でしょうか?
① 選択的レーザー
② 非選択的レーザー

①はある1つの波長をもとに作られたレーザーで
たとえば632nmの波長をもつレーザーであれば赤色に吸収され
赤色を破壊します。
この場合、周囲の正常な皮膚細胞は透明なため、ダメージを受けません。

皆さんがイメージする「消しゴムで消したように」傷痕を残さず
治療することが可能なタイプです。

②は色ではなく、水などに吸収の良い波長を用いています。
正常の皮膚細胞の中には水がありますので、すべての細胞が
レーザーによるダメージを受ける可能性があります。
つまり、こちらのレーザーは削ったりすることに使います。
簡単に表現すれば、レーザーメスです。

こちらは皆さんがイメージするものとは異なり、削る、メスのような
ものですから、当然傷跡は残ります。



話が横道にそれましたので、元に戻します。

今回は、シミ・肝斑など茶褐色の色素性病変に対して
治療を行うので、その際に使用するものは
①の 色選択的レーザーです。

黒茶褐色のシミに、通常使うレーザーは

ルビーレーザー      波長694nm
アレキサンドライトレーザー 波長755nm

そして、黒茶褐色への吸収は上記2種よりはおとりますが
Nd:YAGレーザー     波長1064nm 

が用いられます。

通常のシミであれば
効果の面から
ルビーレーザーあるいはアレキサンドライトレーザーを用います。

効果が高い=茶褐色に効果的にレーザーのパワーが伝わる=
メラニンが破壊される=周囲の細胞に炎症を及ぼす=刺激が強い

肝斑においては
レーザーの刺激を受けてメラノサイトが活発に活動する

以前より多くのメラニンを作る

肝斑が濃くなる。

ですから(昨日のおさらい)

ルビーあるいはアレキサンドライトレーザーを使用すると
刺激が強すぎて肝斑が濃くなります。

そこでもう一つの選択肢
Nd:YAGレーザーの出番です。

Nd:YAGレーザーは、黒茶褐色に対する吸収が
先ほどの2種よりも劣ります(つまり吸収が弱い)

吸収が弱い=刺激が弱い=肝斑が悪化しにくい という
図式が成り立ちます。

このことより、肝斑に対してNd:YAGレーザーを用いるという
レーザートーニング」という手法が編み出されました。

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